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結局のところ、自分は自分でしか満たせないことを知っています。覗いた先に何も見えないのはピアスの穴と同じで、そのうち塞がったりして、嫌なことがあったからとか、スッキリしたかったからとか、そんなどうしようもないくだらない理由を掲げて、皮を貫いて血を流すんです。黒いベロアの生地に張り付いたホコリを全て取り除くなんて、きっと誰にもできません。飛び切りに濃いブラックコーヒーは、口が横一線に波打ってしまうような酸味が一切無く、飛び切りにわたし好みでした。背伸びはいつしか習慣として何の違和感もなく定着します。ミルクを混ぜ切らない、煙のように黒を侵していく白が渦巻くくらいが丁度良いのだと、そんな言葉を思い出してみたとしても、これはとても便利な言葉を使いますけれど、好みなんて人それぞれですから。ですからわたしは今日もブラックコーヒーを飲みました。領収書に貼られた収入印紙を眺めて、粘着部が白く残るように汚らしく剥がしてみたくなる衝動は、感謝も何もあったものではなくて、口元までファスナーを上げます。わたしだけ仲間外れだなんて、やってくれるなあと感心しながら、嫌味の感情を心に宿しながら、また他人を諦めて、目を閉じて、煮えくり返らせて、シメに固めに炊いたお米でも入れましょうかねってするだけできっといまは良いんでしょう。