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寒さと飲みすぎたお酒のせいで身震いする冬の冷え切った朝は、気持ち良さと気持ち悪さが背中合わせをしていて、でもねそれは意外にも心地良いものでした。微かに聞こえる呼吸を、大事に大事に思っていた時も実はあって、けれどその事実は少し前に置いてきたもので、ならば拾い集めようとするのは見当違いも良いところだな、と独りでに思ったりするわけで。吐き出したはずのタバコの煙が未だ胸に渦巻いているような感覚を、リセットされたかのように澄んだ朝の空気を深く吸い込んで、吐き出して、自分が世界の一部になったように、それならば遠くへ遠くへ行こうと思うのは、正しい方法ではないような気がして、でもそれしかやり方を知らない。ねえほんとは掛け毛布はひとつだけで十分なんだよ。天井は手を伸ばすときちんと落ちてくるし、ただ掴めないだけで、それを除けば期待に応えてくれるのがわたしはとても好き。あともう一階がつらい階段も、歯磨き粉がこびりついたフローリングも、水の浸かった洗い物も、あちこちに脱ぎ捨てられた服も靴も、何もかも許す代わりに何も許せない気持ちを大事に大事に持っていることだけは許してください。頭の先まで潜った先はカラカラに乾いた世界だと知って尚、潜って、沈み込んで、干からびていても手を差し出してほしいと願うのは、きっと間違っているんだろうな。